東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

ヨークと泉の修道院(イギリス)

06. ウォーター・ガーデン (スタッドリー王立公園)

スタッドリー王立公園のウォーター・ガーデン

泉の修道院 ファウンテンズ・アビーの跡からスケル川の清流の脇を歩くこと、15分ほどだったか。このスタッドリー王立公園は本当に広いよね。自然が豊かで眺めも良いから、歩くのも心地良いけど。

スタッドリー王立公園の中のウソーター・ガーデン(イギリス)

やがて到着したのが、スタッドリー王立公園の重要スポットの一つ、上の画像に見るウォーター・ガーデンだね。

ウォーター・ガーデンの水辺

スタッドリー王立公園のウォーター・ガーデンには、様々な形の池が造られているんだ。

スタッドリー王立公園の中のウソーター・ガーデン(イギリス)

それぞれの池は、月の形に応じて名づけられている。というよりも、月の満ち欠けをまねて造られているというべきかな。満月の池、半月の池、三日月の池とかね。でも、中には運河と名づけられている池もある。細長くはある。何処にもたどり着けない運河なんだけどね。

スタッドリー王立公園を造ったジョン・エズラビー

このウォーター・ガーデンを中心とする今のスタッドリー王立公園の基礎を造ったのは、ジョン・エズラビーという人物だった。このジョンさん、なかなか興味深い人生を歩んでおられるんだ。スタッドリー王立公園のナショナル・トラストの売店で買った資料(英文なんだけど)から、関連する要点だけを書き出してみるね。

  • 西暦1699年、ジョン・エズラビーが今のウォーター・ガーデン付近の土地を相続した。その時点ではファウンテンズ修道院跡地は含まれていない。他方で、その時点で彼はトーリー党のリポン選出の国会議員だった。

  • 西暦1716年、ジョンがここで造園工事を始めた。

  • 西暦1718年、先にホイッグ党に乗り換えていたジョンが大蔵大臣になった。

  • 西暦1720年、南海泡沫事件に巻き込まれて議会や公職から追放されたジョンがロンドンからヨークシャーに戻ってきた。進められていたウォーター・ガーデンの造園工事も停止してしまった。

  • 西暦1726年、造園工事が再開された。工事を請け負った業者の記録によれば、ジョン・エズラビーの頑固さと気まぐれに業者はてこずったらしい。

  • 西暦1742年、ジョンが亡くなった。以後、この庭園は彼の縁者に受け継がれていった。

  • 西暦1768年、ジョンから庭園を相続した息子のウィリアムは、庭造りにはさほど熱心ではなかったものの、ファウンテンズ修道院跡地を買い取り、庭園を広げている。

  • 西暦1966年、庭園を地元州が買い上げた。

  • 西暦1983年、庭園をナショナル・トラストが取得し、庭園の大規模な修復と保全に乗り出した。

ウォーター・ガーデンを取り巻く建物や丘

スタッドリー王立公園のウォーター・ガーデンを見下ろすオクタゴン・タワー スタッドリー王立公園のウォーター・ガーデンの周囲には、様々な彫像や建物も配置されている。それもさほど邪魔にならないように、ぽつりぽつりと散らばって置かれているのがいいよね。

右の画像の高台に置かれているのは、オクタゴン・タワー。西暦1728年に完成した建物で、その10年後に改築されたんだそうな。

ちなみに、このウォーター・ガーデンのあたりからは、残念ながらファウンテンズ修道院の遺構を眺めることが出来ない。但し、少し小高い丘の上の一部からは修道院跡を眺めることが出来るんだそうな。

このウォーター・ガーデンとファウンテンズ修道院跡との互いの眺望については、ちょいと面白い逸話があったりするんだ。

ウォーター・ガーデンとファウンテンズ修道院跡の眺望

上の年表にも書いたけど、スタッドリー王立公園のウォーター・ガーデンを造ったジョン・エズラビーの息子のウィリアムは、後にファウンテンズ修道院跡を買い取っている。

でも、ジョンの頃には修道院跡は別の人物が所有していたんだ。その人物からファウンテンズ修道院跡を買い取る交渉をジョンは行ったことがあるらしい。ところが、その交渉はまとまらなかったんだそうな。

そしてジョン・エズラビーはウォーター・ガーデンの脇にテント・ヒルという小高い丘を築き上げた。おかげで、修道院跡の所有者はウォーター・ガーデンを眺めることができない。でも、ジョンはテント・ヒルの上に登れば、ファウンテンズ修道院跡の眺めを楽しむことが出来たんだそうな。

そんな話の伝わるウォーター・ガーデンもファウンテンズ修道院跡も含むスタッドリー王立公園は、西暦1986年に世界遺産になっているらしい。そんな公園を歩く私たちは、どちらの眺望も楽しめるわけだね。


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