東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅
グルジア 2000年3月
17. トビリシの朝陽
ロンドンに戻る朝が来た。荷造りのために早起きをする。
出発の準備を整えながらも、グルジアについて考える。グルジアの人々は非常にしぶとい。
ペルシア、ギリシア、古代ローマ、ビザンティン、トルコ、ロシアなど、強大な勢力に囲まれながらも、この小さな民族は独自の文化を育みながら生き延びてきた。周囲の大帝国は次々と滅びていったというのに。
ソ連崩壊後、この国の経済は危機的な状況にあった。1995年からはプラス成長に転じたとはいえ、それでも一人あたりの国民所得は年間 1 千ドル程度だ。
最近でこそカスピ海での石油生産が拡大し、輸送ルートとしてのグルジアの重要性が注目され、外国企業が来るようにはなった。しかし、人々の暮らしはまだまだ厳しい。
トビリシに昇る朝陽は雲に覆われている。だが、勤勉なグルジアの人々は、いつか太陽を覆う雲を払いのけると信じている。
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