東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「モン・サン・ミシェルの旅」 (フランス)

ついでに、サン・マロ、パリのアンヴァリッド、ナポレオンのお墓参り

3. 世界遺産 モン・サン・ミシェルに登る (フランス)

要塞のようなモン・サン・ミシェルに登る

バスを降り、駐車場近くの城門をくぐり、跳ね橋を渡って世界遺産 モン・サン・ミシェルに入る。8世紀の教会から発して修道院として発展したモン・サン・ミシェルだけど、要塞のように堅固な守りを持っているんだ。

フランス北部の世界遺産モン・サン・ミシェルの修道院の上からの眺め

そしてモン・サン・ミシェルの修道院の上まで登り、周囲を眺めたのが上の画像。修道院からの眺めというよりは、要塞のようなお城からの眺めみたいだよね。

フランス王フィリップ2世のノルマンディー占領とモン・サン・ミシェル

先に書いたように、ノルマン人ロロ(ロベール)の時代からノルマンディー公の支援を受け、イングランド征服王ウィリアム1世のノルマン・コンクエストを支持したモン・サン・ミシェルの修道院は、プランタジネット家のイングランド王ヘンリー2世とも深いつながりを保っていた。

その後、イングランド王リチャード獅子心王が築いたガイヤール城を西暦1204年に攻略したフランス王フィリップ2世尊厳王(オーギュスト)は、イングランド王ジョン失地王からノルマンディー地方を奪い取った。

その戦火によってモン・サン・ミシェルの修道院も損傷を受けてしまった。そのモン・サン・ミシェルの修道院の修復の為に(そして関係を深める為に)、フランス王フィリップ2世は財政的な支援をしたらしい。その支援を受け、モン・サン・ミシェルの修道院は島の守りを固めたんだそうな。

その後、フランスの首都パリサント・シャペルを築いたり、シャルトル・ブルーで名高いシャルトル大聖堂を完成させたフランス王ルイ9世(聖ルイ王)も、西暦1254年にモン・サン・ミシェルを訪れている。その際、聖ルイ王は島の守りを更に固めるようにと指示したんだそうな。

フランスとイングランドの百年戦争とモン・サン・ミシェル

そして下の画像は、モン・サン・ミシェルの修道院の上から眺めた海。少し離れた海の中に岩のような小さな島(トンブレンヌ島)が見えるでしょ。あの島はフランスとイングランドとの百年戦争の際にイングランド軍に占領されていたらしい。もちろん、このモン・サン・ミシェルも百年戦争に巻き込まれたんだね。

フランス北部の世界遺産モン・サン・ミシェルの修道院の上から眺めた海

軍事的にも宗教的にも重要な拠点モン・サン・ミシェルを守り通すことはフランスにとって大きな意味を持っていた。百年戦争時代のフランスの英雄ベルトラン・デュ・ゲクランがモン・サン・ミシェルの守備隊長だった時期もあるんだそうな。

西暦1415年のアジャンクールの戦いに大勝し、西暦1420年のトロワ条約でフランス王位継承権を得たイングランド王ヘンリー5世は、抵抗を続けるフランス王太子シャルル(後のフランス王シャルル7世)に更に攻勢をかけた。その矛先はモン・サン・ミシェルにも向けられたらしい。

上の画像にもあるトンブレンヌ島を手に入れたイングランド軍は、西暦1424年にモン・サン・ミシェルを攻囲している。ところが、近くにある港町サン・マロを出た艦隊がイングランド艦隊を敗走させ、フランス軍に支援物資を送り込むことに成功したらしい。その結果、イングランド軍はモン・サン・ミシェル攻略を諦め、包囲を解いたんだそうな。

その後、西暦1429年にはジャンヌ・ダルクがオルレアンを解放するなどフランス軍が攻勢に転じ始める。西暦1433年にはイングランド軍がモン・サン・ミシェルを再び包囲したものの、結局は攻略を諦めて兵を引いたらしい。やがて百年戦争は終息し、イングランドはヨーク家とランカスター家との間のばら戦争に陥っていくわけだ。

ラ・メルヴェイユの上の廻廊

数百年間に何度も戦火に巻き込まれたモン・サン・ミシェルなんだけど、その修道院の建物の建築工事も長い年月の間に何度も行われている。その結果、ロマネスク様式の建物もあれば、ゴシック様式の建物もあるというわけだ。

そんなモン・サン・ミシェルの修道院の中でも、ゴシック様式の部分をラ・メルヴェイユ(「驚異」)と呼ぶらしい。そのラ・メルヴェイユの最上階にあるのが、下の画像にある廻廊なんだ。

フランス北部の世界遺産モン・サン・ミシェルの修道院の上にある庭園

この緑の庭園を取り囲む廻廊は、海面から 79メートルの高さにあるらしい。モン・サン・ミシェルの修道院の修道士たちは、この廻廊を歩き、神について語り、瞑想をしたらしい。今では多くの観光客(私たちも)が歩く人気のスポットで賑やかなんだけどね。


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