東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

グルジア 2000年3月


14. ムツケタの女子修道院

ムツケタの街はずれにある女子修道院にやってきた。この中の礼拝堂が素晴らしいのだそうだ。

ムツケタの女子修道院 しかし、礼拝堂の扉には鍵がかかっている。そこへ通りがかった一人の修道女。「この中に入りたいんですけど、 ... 」と玉ちゃん。

しかし、修道女は黙って階段を登っていった。(右の画像)

「こりゃあ歓迎されてネエなあ。」と皆が言う。そりゃそうだ。女子修道院だぜ。しかも、我々は敬虔なクリスチャンには見えないよ。

(見えヘン、見えヘン !! )

無言の修道女

しかし、その修道女は鍵束を持って戻ってきた。おそらく彼女は口を利くことを許されていないのだ。古くからの修道院規則に従っている。そんな敬虔な信仰の場所に来てしまったことに、罪の意識さえも感じ始めた。

彼女が案内してくれた修道院の礼拝所。白と黒のタイルの床に私たちの靴音だけが響く。冷え切った空気の中に靴音をさせてしまうことにさえ罪を感じてしまう。礼拝所の壁に掲げられた多くの古い聖像が私を見ている。

ああ、なんだか罪だ。私は何のためにグルジアへ来たのだろう。ビジネス。お金儲けだ。そのために話をする。言いたくなくても愛想を言う。笑いたくなくとも笑う。

しかし、山の上の修道士も、ここにいる修道女も一言も口を利かない。それがたとえ善意のためであっても。




聖書を読む修道女

そんなことを考えながら、修道院の敷地を出口に向かって歩く。遠くの小さなお堂の前では、修道女が熱心に本を読んでいた。聖書だろうか。

修道女

その彼女が私たちのほうに目を上げた。あ、邪魔しちゃったな。また罪の意識を感じた私は、思わず頭を下げた。

それを見た修道女は、わざわざ立ち上がって深々とお辞儀をする。

ダメだ。彼女たちには勝てない。何をやっても己の罪を意識してしまう。彼女達は、老いてはいても、天使達だ。塀の向こうの現世では、色々と有ったのかも知れないが。


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【参考】都市別ツアー


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