東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

グルジア 2000年3月


08. トビリシを見渡す

トビリシの背後にあるムタツミンダ山の頂上には、展望台がある。そこからみたトビリシの景色が下の画像。はるか遠くにコーカサスの山なみが見えている。

トビリシを見渡す

幼い頃の玉ちゃんにとって、この展望台へ来ることは最大の楽しみだったと言う。

賑やかなレストランがあり、遊園地が有り、動物園が有り、プラネタリウムが有り、いつも家族連れでにぎわっていた。

しかし、今では荒れ果ててしまった展望台。レストランの有ったビルは廃墟となってしまった。遊園地の遊具は錆付いている。動物達のいない空っぽの檻の扉は開いたままだ。天井の無いプラネタリウムからは、本物の星空を見上げることが出来る。

数人の若い兵士が山頂を警護している。それが玉ちゃんの寂しさを更にかきたててしまうようだ。

泣くな、玉ちゃん。何が変わろうとも、ここから見るコーカサスの山々の姿は美しいよ。それがある限り、いつか人々が戻ってくるよ !!

玉ちゃんを慰めつつ、私は戦後の日本のことを考えていた。廃墟となった日本。しかし、とにもかくにも経済的には復興したじゃないか。

グルジアだって、近い将来に経済的に立ち直ると信じている。だって、グルジアはカスピ海の石油を運び出す為の重要な場所に位置しているんだもの。

しかも、グルジア人は、賢明で勉強熱心で、働き者だ。おそらくは、戦後復興期の日本人、私たちの父や母の世代の人々と同じだと思う。グルジアの企業との交渉に苦労している私が言うのだから間違いはないよ。




事故

展望台から下界へは、ケーブルカーで降りる。

ケーブルカー

そのケーブルカーで悲劇が起きたのは、2000年6月21日のこと。日本から来たツアー客約 20 人を乗せたケーブルカーが、滑り落ちて防護柵に激突してしまったのだ。

幸いに死者は出なかった。しかし、 15 人が病院に運ばれ、そのうちの 8 人が入院することになったのだ。怪我をされた方々には、誠に気の毒な話である。

より多くの日本人がグルジアに行ってほしいと、私は望む。それがグルジアの経済復興につながる。玉ちゃんも喜ぶと思う。また、グルジア人と日本人が出会うことで、双方のメリットにもなると思う。

しかし、グルジアの現実を見れば、多くの日本人ツアー客を受け入れる体制が整っていないのも確かなのだ。一歩一歩、しかし着実に、前進したいものだと思う。この不幸な事故は、ことを急ぐ関係者への警鐘なのだ。


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【参考】都市別ツアー


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