東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記 「エミリア・ロマーニャとトスカナ(イタリア)」

50. ウフィツィ美術館 -2. (メディチ家の人々)

ウフィツィ美術館で見た全盛期メディチ家の当主ロレンツォ

フィレンツェのウフィツィ美術館で見たメディチ家の人々の筆頭といえば、当然ながらロレンツォ・デ・メディチ(あるいはロレンツォ・イル・マニーフィコ)かな。ヴァザーリが描いた彼の肖像(部分)が下の画像なんだ。

イタリア・ルネサンスを支えた全盛期のメディチ家の当主ロレンツォ・デ・メディチ(イル・マニーフィコ)の肖像(フィレンツェのウフィツィ美術館)(部分)

修道女と駆け落ちした画家にして修道士フィリッポ・リッピに対する許しをローマ教皇から取りつけた国父コジモ・デ・メディチの孫にあたり、全盛期メディチ家の当主にして画家ボッティチェッリなどを支援したイタリア・ルネサンスの最大のサポーターの一人が、このロレンツォ・デ・メディチだね。

ラファエロが描いたメディチ家出身のローマ教皇たち

続いて下の画像は、やはりフィレンツェのウフィツィ美術館で見ることのできるラファエロの作品なんだけど、「教皇レオ10世とジュリオ・デ・メディチ枢機卿およびルイジ・デ・ロッシ枢機卿」という長いタイトルが付いている。

イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館で見たラファエロによる「教皇レオ10世と二人の枢機卿」(部分)

中央に描かれているのはロレンツォ・デ・メディチの次男なんだけど、西暦1513年にはローマ教皇レオ10世として即位している。その左に描かれているのはジュリオ・デ・メディチ枢機卿なんだけど、西暦1478年にフィレンツェで起こったパッツィ家の陰謀によって父を殺害されてその兄であるロレンツォ・デ・メディチの養子となった人物。彼も西暦1523年にローマ教皇クレメンス7世として即位している。

フィレンツェ公コシモ1世の父である黒備えのジョヴァンニ

西暦1532年にはローマ教皇クレメンス7世の庶子アレッサンドロが初代フィレンツェ公となった。ところが、そのアレッサンドロは西暦1537年に暗殺され、国父コシモの子孫であるメディチ宗家(兄脈)は断絶してしまった。

その結果、傍流出身のコシモ1世がメディチ家当主となったんだけど、その父親が16世紀イタリアを代表する傭兵隊長だった黒備えのジョヴァンニ(下の画像はジャン・パオロ・パーチェによる彼の肖像画の一部)だった。その黒備えのジョヴァンニの武名が息子のコシモ1世をメディチ家当主の座につけたとも言えるらしい。

イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館で見たジャン・パオロ・パーチェによる「黒備えのジョヴァンニ」(部分)

黒備えのジョヴァンニ(あるいはジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ)は子供の頃に両親を失い、メディチ家宗家出身の教皇レオ10世の下で育てられ、教皇軍の指揮官となったそうな。ハプスブルク家の皇帝カール5世の軍を相手に奮闘し、西暦1526年に戦死している。彼の死後、神聖ローマ帝国軍がローマを劫略している。

ウフィツィ美術館で見たラファエロによる「ひわの聖母」

ところで、二つ上の画像はラファエロが描いたメディチ家出身の教皇レオ10世とジュリオ・デ・メディチ枢機卿(後のクレメンス7世)なんだけど、ラファエロは特に教皇レオ10世との縁が深かった。

ラファエロにローマのヴァティカン宮殿に招聘したのは教皇ユリウス2世だった。でも、その死後に教皇となったレオ10世は、ラファエロにヴァティカンでの制作を続けさせたそうな。今のヴァティカン美術館・博物館ヘリオドロスの間署名の間火災の間でラファエロの作品を見ることができるのは、メディチ家の教皇レオ10世のおかげとも言えるかな。

イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館で見たラファエロによる「ひわの聖母」(部分)

ちなみに、上の画像はフィレンツェのウフィツィ美術館で見ることのできるラファエロの「ひわの聖母」なんだけど、西暦1506年頃の作品なんだそうな。彼がローマに出て、ヴァティカンで制作を始める前の時期のものだね。

実は私はラファエロの作品、特に彼の描く聖母が大好きなんだ。でも、フィレンツェでラファエロの聖母を見るならば、ウフィツィ美術館よりもピッティ宮殿のパラティナ美術館かな。


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