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東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

イングランド南部の旅(イギリス)

1994年4月


大司教トーマス・ベケット 略年表

  • 1155年、トーマス・ベケットが、イングランド王ヘンリー2世によって、行政の最高責任者である大法官に任命された。ロンドンの商人の息子として生まれ、カンタベリー大聖堂の助祭となっていたベケットを王に紹介したのは、カンタベリー大司教シーオボルドだった。

  • 1158年、大法官トーマス・ベケットはイングランド王ヘンリー2世の使者として、対立するフランス王ルイ7世のもとに派遣された。ベケットの外交が成功し、両王家の間に婚姻が成立した。

  • 1159年、トウールーズ伯爵領に侵攻しようとするヘンリー2世のために、大法官ベケットは騎士700人を率いて、フランスに渡った。

  • 1161年、ヘンリー2世を支えつづけてきたカンタベリー大司教シーオボルド死去。

  • 1162年春、空席となっているカンタベリー大司教の座につくようにと、ヘンリー2世がトーマス・ベケットに要請した。しかし、ベケットは、彼が大司教となることによって、教会に対する王権の支配を拡大しようとしているヘンリー2世との関係が悪化すると懸念していた。

    「カンタベリー大司教は、神と王と二人の主人に仕えることはできない」とベケットは言ったと伝えられている。

  • 1162年6月3日、ヘンリー・ベケットがカンタベリー大司教となった。新大司教は封建領主によって横領されていた教会領の返還を求め、王や貴族たちとの対立が始まった。

  • 1163年、教会領に対する徴税権と聖職者に対する裁判権に関して、王と大司教との間の対立が激化した。王は、ベケットの資産や邸宅を没収した。法王アレクサンデル3世の助言に従い、大司教ベケットはヘンリー2世に対する臣従を表明した。

  • 1164年、更に王権を強化することを策するヘンリー2世は、更に教会の力を抑えることを求めた。

    ベケットは王の求めを拒否。王は大司教に圧迫を加え続けた。その年の11月、ついに大司教ベケットはイングランドを去り、フランス王ルイ7世の保護を受けた。

  • 1166年、ベケットはヘンリー2世に破門状を送りつけた。

  • 1170年6月14日、ウェストミンスター大寺院でヘンリー2世の跡継ぎであるヘンリー王子の戴冠式がヨーク大司教の手によって行われた。

    カンタベリー大司教であるベケットが不在の間に戴冠式を行うことによって大司教ベケットを侮辱することが、ヘンリー2世の狙いだった。

    しかし、この戴冠式はヘンリー2世にとって裏目に出た。フランスを始めとするキリスト教国の多くはイングランドに対して反発を示し、ヘンリー2世は外交的に孤立してしまった。

  • 1170年7月22日、外交的孤立から抜け出そうとしたヘンリー2世は、フランス王ルイ7世の仲介により、カンタベリー大司教ベケットと和解した。

  • 1170年12月1日、大司教ベケットがイングランドに上陸した。6年ぶりに帰国した大司教は、カンタベリーにおいて熱狂的に迎えられた。

  • 1170年12月29日午後4時、カンタベリー大聖堂にて祈祷に参加していた大司教トーマス・ベケットが、祭壇の前で4人の刺客によって殺害された。

    トマス・ベケット殉教の現場 右の画像は、カンタベリー大聖堂内のトマス・ベケット殉教の現場。

    カンタベリー大聖堂について、詳しくはココをクリック



  • 1179年、フランス王ルイ7世の唯一の跡継ぎであるフィリップは高熱を発して死線をさまよった。心配したルイ7世は、3晩続けてベケットの夢を見た。

    ルイ7世は後嗣フィリップのために敵地イングランドを訪れ、カンタベリー大聖堂にあるベケットの墓に詣でた。ルイ7世が帰国したとき、フィリップは回復していたと伝えられる。

  • 1172年5月21日、ヘンリー2世は大司教ベケットの死を望まなかったこと、没収した大司教の財産を返却することを誓った。


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