東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

パリに住んだ...つもりの 9 日間

パリ + ロワール・ノルマンディ・シャルトル
(フランス) 2000年9月


タペストリー「貴婦人と一角獣」
(クリュニー美術館、パリ、フランス)

15-16世紀のタペストリーを集めたクリュニー美術館の中でも、代表的な作品が 6枚ぐみの連作「貴婦人と一角獣 La Dame a la Licorne 」だ。

かつてリルケが詩に詠ったこともあるというほどの中世を代表するタペストリー。このクリュニー美術館でも、このタペストリーの為に特別室を用意するほど力を入れている。

「貴婦人と一角獣」の6枚のタペストリーが飾られている部屋に入る。円形の部屋の壁には、中世を代表するタペストリーが飾られている。一歩下がったところにはベンチ。腰を降ろした人々が静かにタペストリーに見入っている。

6枚のタペストリーのうち、5枚は人間の五感を表現している。例えば、一角獣の角に触れる貴婦人のタペストリーは触覚。花の冠を作る貴婦人のタペストリーは嗅覚。オルガンを弾く貴婦人が表現しているのは聴覚。また、杯に手を伸ばす貴婦人のタペストリー(下の画像)は、味覚を表現している。

タペストリー「貴婦人と一角獣」-1

有り難いことに、このクリュニー美術館の中では、カメラの使用も許されている。但し、この部屋の照明は非常に暗い。タペストリーが傷むのを防ぐ為だろうね。

しかも、当然のことなんだけど、フラッシュの使用は禁じられているんだ。その結果、このページにある画像を見ればわかるけど、出来上がった画像はとっても暗くなってしまう。

それでも、鮮やかな赤の上に浮かぶカラフルな色彩のミル・フルールの美しさは伝わっているかな。(「ミル・フルール」とは、小さな花や動物たちを散らした華やかなデザイン。と、資料のウケウリだけどね。)




もう1枚の画像をみてもらおうかな。下にあるのは手鏡を持つ貴婦人。つまり、視覚を表現しているわけだ。ちなみに、手鏡に写っているのは一角獣だよね ?? 写りが小さいから、はっきりしないんだけど。

タペストリー「貴婦人と一角獣」-2

さて、このタペストリーは6枚の連作だと書いたんだけど、今までに説明したのは5枚だけ。実は、最後の一枚が問題なんだ。色々な資料を見たんだけど、その解釈は揺れ動いているみたい。

ある解釈によれば、主人公の貴婦人が五感の喜びを捨て、肉体の感覚から自由になることを望むとしている。別の解釈によれば、更に欲望の深みにはまることを表現している、となる。その最後の1枚の画像が無いのが問題なんだけど ... こめんなさい。

それから、色々な資料を調べたんだけど、このタペストリーが制作された年・場所や作者はわからなかった。でもね、ひとつだけ面白いヒントがあったんだ。

貴婦人をとりまくライオンと一角獣なんだけど、リヨン出身の貴族であるル・ヴィスト家の紋章に登場してくるキャラクターらしいんだ。このタペストリーもリヨン(フランス)やル・ヴィスト家に関係が有るのかもしれないね。

調べたんだけど、ますます広がる「貴婦人と一角獣」の謎。また面白いことを発見したら、このページに追加していくね。

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索



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