東西南北 春夏秋冬 ヨーロッパの旅

旅行記「エジプト周遊」

12. アスワン・ハイ・ダム

ルクソールからアスワン

今日も早起きをして、ホテルのレストランで朝食を済ませる。昨日から具合を悪くしている O夫妻を見かけたけど、今日も体調が悪そうだった。体調の維持の為には神経質なほどに気を使う必要があるね。ツアーの添乗員さんの指示に従い、歯磨きの後はペット・ボトルの水で口をすすぐこと、生野菜のサラダなどには手を出さないこと。

エジプト略図

さて、昨日まではルクソールを拠点にアメンヘテプ3世ゆかりのカルナック神殿ツタンカーメン王の墓がある王家の谷ハトシェプスト女王が築いた葬祭殿などを見て周ったんだけど、今日はエジプト南部、スーダンとの国境に近いアスワンに移動する。

アスワンを拠点にナイル川をせき止めて作ったアスワン・ハイ・ダムアウグストゥスが建立したとされるカラブシャ神殿、ラムセス2世が築いたアブ・シンベル神殿などを見に行こうというわけだ。

飛行機からの眺め

ルクソールの空港を離陸したのは10時前だった。ずっと飛行機の窓から外の景色を眺めていたんだけど、まず眼に入るのはルクソール周辺の緑豊かな土地だった。でも、ナイル川の恵みが及ぶ大地は限られていた。

ルクソールからアスワンへと向かう飛行機の窓からの眺め(エジプト)

やがて大地は茶褐色の砂漠となり、更には土漠、そして干からびて草木も無さそうな岩山(上の画像)が続く。そんな風景を眺めていると、アスワンの空港に着陸するまでの30分はあっという間だった。

アスワン・ハイ・ダムの堤の上にて

アスワン空港ではなかなか荷物が出てこなかった。空港内は荷物を待つ人々でいっぱいだったよ。そのアスワンの空港なんだけど、元々は軍用の空港だったみたい。イスラエルとの戦争の際などには、アスワン・ハイ・ダムが空爆されることを懸念していたらしい。この空港には戦闘機が駐機していたし、周囲にはトーチカも見え隠れしていた。今ではイスラエルよりもテロリストに対する警戒の方が重要なんだろうけどね。

空港の前で待機していたツアーのバスに乗り込み、アスワン・ハイ・ダムに向かう。但し、昨日から体調を崩している O夫妻は、私たちの荷物と一緒にホテルに直行だったよ。早く元気を回復すると良いね。

アスワン・ハイ・ダムの堤の上にて(エジプト)

バスは20分ほどでアスワン・ハイ・ダムの堤の上に到着。それが上の画像なんだけど、ここで家内は「ダムはどこにあるの?」という名言を残している。アスワン・ハイ・ダムの大きさは私たちの想像を越えていたんだ。

このアスワン・ハイ・ダムの堤の高さは110メートルを越えている。堤の最上部の幅は40メートル、堤の基底部の幅は最も広いところで 1km近いらしい。そんな堤の長さは 3.8kmもある。ダムというよりも、むしろ山だよね。そんなダムの建設が始まったのが西暦1960年。完成までに10年を要したんだそうな。

大きな影響をもたらしたアスワン・ハイ・ダム

そんな巨大なアスワン・ハイ・ダムの堤の上を走るバスの車窓から眺めた下流の景色が下の画像なんだ。このダムによってナイル川の洪水と渇水が抑えられ、流れを安定させることが出来た。ナイル川の両岸に広大な農業用地を生み出すことが出来たんだそうな。しかも、ダムは水力発電にも利用されている。

アスワン・ハイ・ダムの堤の上を走るバスの車窓から眺めた下流の景色(エジプト)

他方、アスワン・ハイ・ダムの上流側には巨大なナセル湖が生み出された。その面積たるや日本の琵琶湖の8倍にも達するらしい。その巨大な湖では漁業が盛んになり、水揚げされた魚は多くの人々の胃袋を満たしているんだそうな。

でもね、そんな巨大な湖が生み出されれば、様々な面に多大な影響が及ぶのは避けられないよね。一つは水没する地域に住んでいた人々の移住が求められたこと。移住を強いられた10万人近い人々の多くはヌビア人だったそうな。

更には、多くの歴史的な遺跡の水没が避けられなかったこと。重要な遺跡が人工湖の底に消えていくことを避けるために、ユネスコの支援が行われた。その結果、これから見に行こうというカラブシャ神殿やアブ・シンベル神殿が水没地域から移築されたんだね。


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