ミソラン・ガイド 手前味噌味 レストラン・レポート
ヨーロッパ・ミソラン・ガイド

アルザス風スペイン料理 「ネイチェル」
(バルセロナ、スペイン、1999年3月20日)

Restaurant Misolin Michelin
Neichel
Beltran i Rozpide, 16, bis
- 08034 Barcelona - E
Spain
Phone 93 203 84 08

店に向かう

さてディナーの時間だ。ジーンズからジャケットに着替える。 2 泊 3 日という短い旅だというのにスーツケースを引きずってきたのは、まさにこのためだった。今夜のレストランは、ミシュランの二つ星である。

バルセロナ市内のホテルの前でタクシーに乗り込む。車を停めてくれたドアマンが私に行き先を尋ねる。レストランの名前を告げた私に、「とっても良いレストランだよ」とドアマン氏。なるほど、バルセロナでも有名な店なのだ。

タクシーの運転手が迷った

ところが私たちを乗せたタクシーの運転手。目指す住所を捜してあちらこちら。最初はタクシー料金を稼ぐための演技かとも思ったが、どうやら行き先の場所を本当に知らないらしい。

右往左往の挙句に目的地に辿り着いたのは 8 時過ぎ。静かな高級住宅地の一角だ。どうみても普通のマンションらしい建物の 1 階に目指すレストラン「ネイチェル」があった。

予約は 8 時だ。少し遅れている。ともかくレストランの入口に入る。

まだ掃除中

ところが店の玄関では、おじさんが掃除をしている。嫌な予感を抑えこみ、おじさんに声をかけた。

「予約をしてあるんだが。」
「開店は 8 時半ですよ。」
「そんなはずはない。私は 8 時に予約してある。」

店内 そう言ってはみたものの営業していないレストランで食事は出来ない。しかし、ここは住宅地。外で待とうにもバーもない。店内のソファーで待たせてもらうことした。(それが右の画像。)

ソファーに腰を降ろして開店を待つ。全く退屈 ..... ではなかった。開店前のレストランの様子を観察するのが楽しかったのだ。

開店準備

フロアからは掃除機の音が聞こえる。それが止むと、カチャカチャという金属音。フォークやナイフを並べているのだ。調理場では材料の仕込をしている。やがて香ばしい香りが漂ってきた。パンが焼きあがった !!

やがて、黒服のマネージャーが私たちを呼びに来た。テーブルの準備が出来上がったらしい。その後についてダイニング・ルームに向かう。

マネージャー氏をよく見ると、さっき玄関で掃除をしていたおじさんだ。なるほど、パリッと黒服を着込むと貫禄が出るものだ。馬子にも衣装。

(そりゃキミのことやろ !! )

アペリティフ

店の中にはテーブルが 10 卓。テーブルとテーブルとの間は広く、ゆったりと腰を降ろすことが出来る。

さて、アペリティフを何にするか。フロア・マネージャー氏に尋ねた。「ネイチェル・スペシャルとでも言えるものはありますか ??」

やがてアペリティフが登場。シャンパンとカシスに、カンパリとフランボワーズを加えたもの。悪くはないが、驚くほど美味いものでもない。

ワイン

ワイン 料理を選び終えると、次はワインだ。リストの中から選び出したのが、スペイン産のリースリンクの白。

元来はフランスのアルザスで栽培されているリースリンクを、スペインで栽培してワインにしているというのが興味深い。

とはいえ、その選択に自信があったわけではない。やがてテーブルにやってきたソムリエ氏に相談のうえで、そのワインを注文した。

料理を待つ

まずはアミューズ・グールの登場だ。ブラック・オリーブのパテとドライ・トマトのカナッペ、チーズ入りのロール・スティック、セロリの風味のクッキー、サーモンとクラムのムース。

どれも美味いが、最高なのはムース、続いてカナッペだ。アミューズ・グールが美味いと、料理に対する期待も膨らむ。

やがてフランス・パンが出てきた。パン大好きの家内がすぐに手を出す。美味い !! 家内の口から最高の賛辞が飛び出す。

パンにうるさい家内が、ここまで誉めるのは尋常ではない。普段は殆どパンを食べない私も、つられて一口。なるほど、これは美味い。

家内の表現によれば、カリカリのサクサクのフワフワのシットリである。さきほど焼きあがったばかりのパン。しかし、ここが我慢のしどころだ。ここで調子に乗ってパンを食べすぎては、料理が入らなくなる。

ワイン

充分に冷えたワインが登場。スペイン産のリースリンクの白。色は非常に淡い。殆ど透明である。香りは非常にドライ。

リースリンクの本場アルザスのものと比較して、フルーティな香りが弱い。口に含む。かなり酸味が強い。ほのかな甘み。しかし、爽やかな後味。結構なお味 !!

(旅行の後、ロンドンの自宅に戻って調べたところでは、このワインの産地 ペネデス Penedes は、バルセロナの南 30km ほどのところにある海岸沿いの地域であった。)

関連書籍

参考になる・・・かもしれない本を探してみました。(本の題名をクリックすれば詳細が表示されます。)




前菜 - アンギラス・サーモン・アスパラガス

さて、ようやく前菜である。アンギラスとサーモンのサラダ。生野菜の上にアンギラス(ウナギの稚魚)とサーモンを散らし、あっさりとしたドレッシングをかけてある。その周囲にはトリュフ。非常に贅沢なサラダだ。

細い割には歯ごたえのあるアンギラスが美味い。もう一つ美味かったのが、アスパラガス。非常に細い。出始めのアスパラである。

(ちなみにアンギラスのスペイン風の食べ方であるが、たっぷりとニンニクを使い、オリーブ・オイルで炒めて、スパゲティのように食べる。この店の料理は、後で説明するが、個性的なのだ。)

メイン - ロブスター・アサリ・イカ墨ご飯・ヒラメ・シュークルート

家内のメインは、ロブスターとアサリのパナッシュに、イカ墨ご飯。悪くはない。しかし、私のメインの方が美味い。

私の料理は、ヒラメのグリルにシュークルートを添えたもの。そのヒラメがプリプリとした歯ごたえで美味い !! ちなみにシュークルートだが、もちろんスペインの伝統的な料理ではない。

ドイツのザウアー・クラウト ないしは アルザスのシュークルートというのが本来の姿である。

面白い店だ。スペインの素材を使いながらも、アルザス風の料理やワインが出てくる。それもそのはず、店のシェフはアルザスの出身。

そのシェフが、スペインとアルザスのエッセンスを一つにして、美味い料理を出している。(ただし、スペインの伝統的な料理を食べたい時は、この店に来るべきではない。)

デザート

ディナーはまだ終わらない。この店は、デザートにも定評がある。それを食べずに帰るわけにはいかない。

たくさんの種類のデザートを乗せたトレイが登場する。興奮した家内は、ワイン・グラスをひっくり返す。

それにもくじけずに家内が選んだのは、イチゴ、チーズ・ケーキにオレンジ風味のプリン。私はイチゴのタルトとオレンジ風味のプリン。なるほど評判になるのも当然の味だ。

特に極めつけはイチゴ。小さくて形が悪い。見た目には貧相この上もない。しかし、そのイチゴが美味い。不思議なほどに濃縮された味なのだ。あれは野イチゴだろうか。不思議なイチゴだった。

お値段

さきほどのソファーに移動する。コーヒーを飲みながら煙草をふかす。やがてタクシーがやって来た。今日のディナーも終わりだ。お代は 23 千ペセタ( 18 千円)なり。

これだけ飲んで食べて、この値段は安い。再びバルセロナに来る機会があれば、是非ともこの店で食事をしようと決めた。



失敗 !!

ロンドンに戻り、資料を整理していたとき、ちょっとしたメモを見つけた。ネイチェルの予約を取ったときのメモ。こちらからは 8 時と頼んでいたが、店からは開店は 8 時半だという連絡のメモだ。私は開店時間のことに関して、すっかり忘れていたわけだ。申し訳ない !!

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索



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