ミソラン・ガイド 手前味噌味 レストラン・レポート
ヨーロッパ・ミソラン・ガイド

フランス料理界の巨匠
「ポール・ボキューズ」

(リヨン、フランス、1997年9月27日)

Restaurant Misolin Michelin
Paul Bocuse
au pont de Collonges Nord
69660 Collonges-au-Mont-d'Or
France
Phone 04 72 42 90 90

フランス料理界の巨匠

今夜のレストランは、ポール・ボキューズ」。リヨンの北 10 km あまりの場所にある、ミシュラン三ツ星の店だ。フランス料理界の巨匠といわれるポール・ボキューズ氏の料理を味わえるというわけである。

当然ながら、私たちも入念に準備をする。ゆっくりと風呂につかり、念入りにヒゲを剃り、ジャケット & タイを身につける。ホテルからレストランまでは、タクシーで約 20 分、料金は 110 フラン( 2,200 円)。

ホテルの玄関で迎えてくれるのは、赤い制服を着た二人の黒人。なんだか 19 世紀の植民地時代を懐かしむような趣味の悪さを感じる。おそらく黒人の客は不愉快な思いをするのではないだろうか。(考えすぎかなあ ??)

「 97 年 秋のコース」

デザイン 私たちのテーブルは、窓際の落ち着いた席だった。まずはアペリティフを選ぶ。家内はマコンの白ワインをグラスで。私はキールを注文。(キール・ロワイヤルはお腹がふくらむので、好きではない。)

メニューを読みながら料理を考える。店に来るまでは、アラカルトから選ぶつもりだった。しかし、コース料理も美味そうだ。私たちが食べたかったボキューズ氏の得意料理も入っている。というわけで、「 97 年秋のコース」を注文。

ヒゲのソムリエ

次はワインを選ぶ。テーブルにやって来たソムリエ氏は、なかなかの貫禄だ。クルリと輪を描く口ヒゲを蓄え、胸には金色のソムリエ・バッジが燦然と輝いている。黒の制服には金糸の縫い取り。首からぶら下がる金の鎖の先には、金のタートヴァン。

ソムリエ氏は、私たちの為に次から次へとワインを薦めてくれる。もちろん、ブルゴーニュの銘酒ばかりだ。しかし、どれもこれもこの旅行中に飲んだばかりのもの。別のワインがいいな、とわがままを言う。さんざん彼を困らせた挙句、注文したのは白のハーフと赤のボトルだ。

(しかし、よう飲む夫婦やなあ。)




アミューズ・グール

さてと、アミューズ・グールでも食べて、料理とワインを待とう。アミューズ・グールは、マグロのガーリック・ソテーに、トマトと玉ねぎを刻んであえたものを添えてある。ニンニクのニオイは強烈だが、トマトとタマネギのおかげで口当たりはさっぱりしている。

やがて白ワインの登場。今度のソムリエは若い男性。しかし、胸にはソムリエ・バッジ(ちょっと小さめだけど)。この店には何人のソムリエがいるんだ ?? 彼の答えは 3 人。もちろん、さっきのヒゲの殿下が親分だそうだ。

トリュフとフォアグラのスープ

最初の料理は、トリュフとフォアグラのスープ。ポール・ボキューズ氏の得意料理だ。スープ皿を覆うパイに、スプーンで穴をあける。蒸気が噴出す。香りが広がる。パイにあいた穴を広げながら、スープを食べる。

なるほど店の名物料理になるはずだ。美味いったらありゃしない。スープの残りの量が少なくなるたびに、食べるのが惜しくなった。真剣にお代わりを考えたほどだ。

タルボット

次の皿はタルボット(タラの 1 種)。美味いけど、魚ならば和食の方が上だ。と考えるのは日本人だけだろうか。

口直しにカシスのシャーベットが登場。銀のタートヴァンの中に盛り付けてある。店の目論見どおり、シャーベットの爽やかな口当たりがうれしい。

「一緒に頑張ろうね」

店内 私たちのとなりのテーブルに客が案内されてきた。フランス人(たぶん)の夫婦に男の子の三人家族。

男の子も母親も妙に興奮している。お父さんも落ち着かない様子だ。男の子の 10 歳の誕生日のお祝いに、意を決して高級レストランにやってきたのだろうか。

慣れない高級レストランに来て緊張するのは私たちだけではない。「一緒に頑張ろうね ! 」 と心の中で家族連れに声をかけた。

頑張らないでね ...

窓から外を見ていると、大きな観光バスがやってきた。降りてきたのは日本の若者の団体さん。「個性的」なヘア・スタイルに、スーツが浮いている。日本の調理師学校の研修旅行だろうか。

心の中で彼らに語りかけた。「ここでは、あんまり頑張らないでね ... 」

わかる、わかる、その気持ち。

隣のテーブルの男の子は、フォアグラを食べている。ナイフでフォアグラをパンに塗る。そのパンを口に入れる前に、必ずナイフをなめちゃう。わかる、わかる、その気持ち。美味しいもんねえ。

周囲のテーブルには、あっちこっちでトリュフとフォアグラのスープ。皿を覆うパイに穴が開けられるたびに、あの香りが漂ってくる。また真剣にお代わりを考えてしまった。

ビーフとラム

赤ワインに続いて、メインの登場だ。家内はビーフの赤ワイン煮。私はラム肉のグリル。もちろん高級レストランだろうが何処だろうが、いつもの様に途中で家内と私の皿を取り替える。

だってねえ、どっちの料理も味わってみたいもんねえ。結論としては、ラム肉の勝ち。しかし、いずれにせよ、量が多すぎてとても食べきれない。

デザート

最後に数え切れないほど多くの種類のデザートが、私たちのテーブルを取り囲んだ。家内も私もいくつかのデザートを皿にもらう。卵の白身のメレンゲ、イチゴ、バニラとラズベリーと桃のアイス・クリーム。言うまでもなく、どれもこれも美味い。

しかし、圧巻はイチゴ。見た目にはただのイチゴ。それが美味いのだ。それにしても、 9 月も終わろうという時期に、こんな美味いイチゴがよくぞ手に入るものだと感心する。

ディナーの後で

最後にコーヒーを飲んでディナーを締めくくる。お代は 2,400 フラン( 4 万 7 千円)なり。ちょっとゼイタクが過ぎたけど、(たぶん)一生に一度のことだから、いいよね。

タクシーを待つ間、窓の外を眺めてすごす。さっきの若者の団体がバスに乗り込むところだった。窓辺の私たちの姿を見て、若者達が手をふる。日本人を見つけてうれしいらしい。

気がつかぬふりをして、視線を店内に戻す。彼らの気持ちもわからなくはないけれど、... わかりたくないよね。

記念撮影

玄関 やがてタクシーが到着。係の若者に案内されて玄関を出る。その若者にカメラを渡し、玄関で記念写真。

私たちも、はしゃいでいる。私たちに手を振った若者達と五十歩百歩。

それにしても、トリュフとフォアグラのスープは最高だった。もう一度、あのスープを食べたい !!

(この店で食事をしたときの旅については、旅のページ 「初秋のブルゴーニュ」 を読んでくださいね。)

【参考】都市別ツアー


【参考】ホテル検索



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